CNC主軸・工具の健全性評価システムで安定生産を実現
2022/12/30

パートナー企業:imCloud CO., LTD.
地域:台湾

背景
精密加工部品の製造コストは高額です。加工中に工具の予期せぬ欠けや破損が発生した場合、製品の品質低下を招くだけでなく、最悪のケースではロット全体の廃棄処分を余儀なくされます。これは生産性に深刻な影響を及ぼし、多大な追加コストを発生させる要因となります。
また、部品の故障が発生する確率は比較的低いものの、万が一発生した場合には、交換用スペアパーツの納品までに数日、場合によっては数週間もの遅れが生じることがあります。その結果生じる生産損失の総額は、予測すら困難です。こうした課題はいずれも、異常を事前に、かつタイムリーに検知できていないことに起因しています。
システム要件
精密製造の現場において、高精度なCNCマシニングセンタの導入は今や一般的となっています。しかし、主軸や工具の予期せぬ故障は、生産ラインの停止、加工対象物の損傷、製品品質の不安定化を招くリスクを常に孕んでいます。安定性と信頼性の高い精密加工を維持するためには、予兆診断および寿命管理 (PHM) ソリューションを組み込んだ予兆保全システムの導入が、以下の課題を解決する鍵となります。
- 切削工具の単価自体は比較的安価であるものの、工具交換に伴うライン停止は4〜6時間にも及びます。現状、工具の交換時期は、ワークのバリの出具合や加工時の異音など、熟練技術者の入念な判断や経験に頼っているのが実情です。そのため、問題が発生する前に工具の異常を検知できず品質不良が生じた場合、出荷後に製品の回収を余儀なくされるリスクがあります。事後対応による巨額のリコール費用を最小限に抑える、あるいは回避するためには、工具の状態をリアルタイムで監視することが極めて重要です。
- 複合材、高価な航空宇宙用金属、チタン合金などの難削材を加工する際、工具は激しく摩耗します。しかし、まだ使える状態の工具を早期に交換してしまうことは、目に見えない高額なコスト (隠れコスト) の発生につながります。この無駄を省くためには、工具状態をリアルタイムで監視し、最適な交換タイミングを見極めることで、工具の製品寿命を最大限に活用する必要があります。
- 万が一主軸に問題が発生した場合、技術者による測定、修理、テストが必要となり、機械が数日間にわたりメンテナンス停止する可能性があります。納期が切迫している大口注文において、長期のダウンタイムは致命的です。そのためオペレーターは、主軸を監視して初期段階の異常を検知できる体制を整える必要があります。これにより、必要に応じて事前にスペアパーツの手配をサプライヤーへ通知することが可能になります。
導入製品
- IFS-PHM-MIC770W5A:iFactory PHMエッジソリューション・パッケージ
- iFactory PHM I.App:PHMサービスアプリケーション・プラットフォーム
システム構成図

システム導入
本システムでは、CNCマシニングセンタの主軸およびツールホルダーに振動センサーと電流センサーを装着し、稼働中の振動・電流データを収集します。集められたデータは、産業用コンピュータ「MIC-770 V2」へと入力されます。その後、内蔵されたAIモデルによる予兆診断(PHM)分析を実行し、主軸と工具の健全性指標を算出。異常の初期段階で警告を発することで、以下の目的・効果を実現します。
- 稼働状態をリアルタイムで監視し、発生し得る異常を事前に予測することで、予期せぬ機械の稼働停止を未然に防ぎます。
- メンテナンススケジュールを最適化し、不要な定期メンテナンス費用や、それに伴う生産ラインの停止時間を最小限に抑えます。
- 修理計画の策定やスペアパーツの調達にかかる待ち時間を短縮し、納期の遅れを出さない安定した生産体制を確立します。
- 装置への組み込みが可能なスマートデバイスを通じて、顧客が運用する機械の状態をリアルタイムに監視できます。継続的なデータ分析とトラッキングにより、適切なタイミングで網羅的なメンテナンスサービスを提供することが可能になります。
まとめ
CNC精密主軸および工具健全性評価システムは、マシニングセンタの多種多様な加工・運転条件に柔軟に適応します。主軸と工具の双方において、リアルタイムな状態評価と異常診断を行うことで、問題が発生した際には関係者へ即座に警告を発し、迅速な初期対応を可能にします。工具の実際の寿命を数値化(定量化)することで、不要な早期交換を無くし、工具寿命を極限まで使い切ることができます。同時に、事前の警告機能が最適な工具交換のタイミングを提案。工具の過度な摩耗による加工対象物の品質不良を未然に防ぎます。主軸の性能低下に伴う故障の兆候を初期段階で検知し、警告を発します。これにより、主軸の劣化が引き起こす突発的な機械のダウンタイム稼働停止を確実に回避します。
導入企業の声
「アドバンテックのPHMソリューションを導入したことで、生産効率が大幅に向上しました。さらに、これまでは見えにくかった『不要な工具交換による隠れコスト』の削減にもつながっています」
アドバンテックWISE-iFactory:予測分析
PHMソリューションは、機械そのものの状態にフォーカスした「マシン・セントリック(機械中心型)」のソリューションです。エンドユーザーは機械の異常を初期段階で検知し、将来的な健全性の予測が可能になります。得られたデータは、メンテナンススケジュールの最適化に向けた意思決定の判断材料として活用でき、これによりスマートな機械管理という目標の達成に貢献します。
